この旅行記をまとめていたら妻が「そんなに長たらしく、くどくど書いたら読んでもらえないでしょう」と言いました。
 たしかに、私もそう思います。でもいいんです。私は写真集ではなくて旅行記にしたいんです。ですから、あったこと、見たこと、聞いたこと何でも書きました。
 何年か経って、自分で読み返してみるのも楽しいものです。

 でも、やっぱり、読んでください……ネ。
   
 
その1
 
ミラノ〜ヴェローナ

ミラノ
  2007年10月18日(木) 
ミラノの街並
 ついにやって来ましたイタリアへ。今回のツアーは総勢37名で募集人員いっぱいだそうです。旅行社は阪急trapics。添乗員は若い女性で横山さん。各地での説明には『耳太郎』と呼ばれる受信機を使うということで皆に配られました。これが重宝しました。
  昨夜遅くにミラノについてホテルに直行。観光は今日からです。
 ミラノは人口130万人前後のイタリア第2の都市で、お洒落でファッションの街でもあります。
ビットリオ・エマヌエーレ2世アーケード
 まず最初は、あの有名なレオナルド・ダ・ヴィンチの傑作『最後の晩餐』(最初に最後の晩餐?)鑑賞に、サンタマリア・デレ・グラッツェ教会に行きました。いつもは予約がいっぱいで、なかなか入れないそうですが、「本当に皆さんは幸運です」と添乗員が強調していました。
 もちろん中は薄暗く撮影は禁止。出口に売店があったので、せめて1ユーロの絵葉書でも買おうと、5ユーロ札を出したら、日本語で「お釣りがないからノー」と言ってプイと横を向いちゃいました。
アーケード中央十字路に描かれたモザイク絵
 小銭の持ち合わせはないし、何枚も買う気にはならない。何よりも「たった絵葉書1枚売らなくてもいい」と言わんばかりの応対に、(そこそこ美人なのにいやーナ感じ。あれで店番が務まるのかねぇ。)
 一歩外に出れば、教会の入り口でミラノの説明書や絵葉書、小さな飾り物などを示して「全部で10ユーロ」「全部で10ユーロ」と、こちらはしつこく迫ってくる男性。笑っちゃった。
 スフォルチェスコ城やスカラ座は車窓から横目に眺めて、ヴィットリオ・エマヌエーレ2世広場からは歩いてアーケードをくぐり抜け、ドゥオモ(ミラノ大聖堂)に向かいました。
ミラノ大聖堂
 ビットリオ・エマヌエーレ2世アーケード。ここはガラス張りの美しいアーチ型の天井で覆われたアーケード。中はとてもにぎやかで、舗道には美しいモザイク模様が施されていました。
 舗道の両側にはお洒落なカフェ、ブティック、大きな書店、レストランなど色々な店が並んでいて、とても賑やかです。イタリアは泥棒やスリの名所。「持ち物には十分注意するように」とのことでした。
 アーケードの真ん中十字路に描かれたモザイク絵の中心にかかとを置いて、ぐるっと回れば子宝に恵まれるそうです。60歳前後のおばちゃんたちがキャーキャー言いながら回っていました。もう子宝はいらんでしょ。
ミラノ大聖堂内部
 アーケードを抜ければドゥオモ広場。ドゥオモとは大聖堂のことで、イタリア各地にあります。
 左手に白大理石で造られたゴシック様式の大聖堂がそびえていて、空に向かって伸びる無数の尖塔と、周りの彫像(聖者像)が見るものを圧倒します。
 この大聖堂は14世紀後半に着工され19世紀半ばに完成、実に500年の歳月をついやして完成したそうです。
 中はどこの教会も似たようなもので、きらびやかなステンドグラスと彫像が印象的でした。
 民芸品店に立ち寄り、昼食はミラノ風カツレツ。その後ヴェローナへ

ヴェローナ
 
ロミオの家
 ヴェローナに着いたころから雲行きが怪しくなってきました。ヴェローナは人口約25万人。日本人にはあまり知られていない都市かもしれませんが、イタリアではかなり多くの観光客を集めている都市だそうです。
 シェークスピアの『ロミオとジュリエット』の舞台となった有名な街と言えば、ほとんどの人が「あぁ」と思い出すでしょう。
 アディジェ川のほとりでバスを降りて、いざ市内観光というときに雨がポツリポツリと落ちてきました。やむなく傘をさしてロミオとジュリエットの家に向かいました。
 街の小さな通りを歩きながら、突然「ここがロミオの家ですよ」との添乗員の説明に、あわててシャッターを押しました。
スカラ家の教会「サンタマリア・アンティカ」
 ジュリエットの家に比べて、ロミオの家はあまり有名ではなさそうです。
 イタリアは多くの観光地を持っていますが、その説明を添乗員がすることは禁じられているそうです。ガイドの仕事を保護するためで、すべて現地ガイドを雇わなければならないということでした。
 主な観光地には日本人ガイドもいますが、すべて日本人というわけにはいきません。現地人も雇わなければならないわけで、日本語のしゃべれるガイドは少なく、英語での説明を添乗員がいちいち通訳します。
エルベ広場
 通り過ぎる頃になって「ここがロミオの家です」と言われたのもそのためです。
 ヴェローナの街は中世の町並みがよく残っていて、2000年に世界遺産に登録されました。
 古代ローマの遺跡や中世の教会や城が点在していて、街の中心近くにはローマのコロッセオに似た円形闘技場『アレーナ・ディ・ヴェローナ』がありました。
 2万人収容のこの闘技場は、1世紀頃に建設されたもので、約2000年もの間ほとんど昔のままの形をとどめていて、今もオペラやロックコンサートに使用されているそうです。すごいですね。
エルベ広場
 イタリアという国は、古いものを保存しようという考えの強いお国柄だそうですが、各地に古代ローマ時代の遺跡が保存されていて、目を見張りました。
 またこの街は『ロミオとジュリエット』ゆかりの街として大勢の観光客がつめかけ、シニョーリ広場やエルベ広場は多勢の人で賑わっていました。
 スカラ家の教会であるサンタマリア・アンティカ教会のそばにあるスカラ家一族の廟は、スカラ家の紋章などで華やかに飾られたゴシック様式の構造で、4角錐の屋根の上には騎士像が飾ってありました。
ジュリエットの家の中庭
 身動きもできないほど多くの観光客が入っていたのはジュリエットの家。ロマンチックなイメージとは裏腹に、蔦のからまるバルコニーは、悲劇の物語を思い起こさせるに十分でした。
 『ジュリエット像』は、あまりの人の多さに時間の制約もあって、写真におさめることができませんでした。
 『エルベ広場』で写真休憩をしている頃から雨も止んで、円形闘技場の横を通って、カステロベッキョ城の城壁を眺めながら歩き、アディジェ川のほとりで待っていたバスに乗り込み、ヴェローナをあとにしました。
 今日のホテルはべネツィア近郊のメストレという所です。そこまでバスで2時間、途中トイレ休憩をとりながらの旅です。

イタリアのトイレ、風呂、水事情
円形闘技場:アレーナ・ディ・ヴェローナ
 イタリアに限らず、ヨーロッパのトイレは大体有料です。公園や有名な観光地には無料の所もありますが、ほとんどは50セント。個人の家のトイレを借りれば1ユーロぐらいだそうです。
 ホテルの風呂はトイレと一緒のユニット方式で、ウォシュレットではありません。風呂とトイレの仕切りはカーテン1枚。湯船はなくてシャワーだけの所もありますが、上ランクのホテルは湯船もあります。
 石鹸とタオルはどこでも置いてありますが、シャンプーやトリートメント、寝間着やガウンなどは超高級ホテルにしかありません。
カステロベッキョ城の城壁
 ところで、トイレのそばに便座によく似た、ふたのない容器が備え付けられています。間違えてここに用を済ませる人もあるそうですが、これは用を終って、お尻を洗うためのものだそうで、専用のタオルもついています。
 水は水道水を飲めるのですが、硬質でカルシウムやその他の鉱物が多すぎるため、日本人には合いません。ホテルにはポットも水もコーヒーもありませんから、必要な量だけミネラルウォーターを買います。
 500mlボトルで1〜2ユーロと幅があります。スーパーでは大体1ユーロ。私たちはバスの中で1ユーロで売ってくれましたので、毎日2本ずつ買いました。

 

2007.11.07  

  

 

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