“自分の魂に自分を殺させた女性”

魂という名の意志体
 人は皆 死によって肉体を脱ぎ捨て、魂だけが永遠の霊界生活を送ることは「想念と地獄」でも詳しく書きました。
 この「魂」、実は生きた人間にも厳然と存在するわけで、その意志によって人間が良くも悪くも導かれることをご存知でしょうか。
 21世紀を迎えて、物質文明はますます盛んですが、そんな中にも、やや行き詰まりを感じ始めたのでしょうか、現在では死後の世界の実在、霊魂の不滅を信じる人たちが増えてきているように思われます。
 以前の日本人は殆どの人が信じていたようですが、敗戦を境に急速に信じない人が増えたようです。今や信じない人が圧倒的に多く、信じる人は古い人、変人、挙句の果ては馬鹿・気違い呼ばわりをされ、肩身の狭い思いをしている人も少なくないようです。
 しかし、真実は一つ、欧米では信じる人が大多数を占めているのも事実です。

 それはさておき、この魂が日々のあなたの生活を導き、いつか迎える大霊界行きの日(死のとき)に備えて、着々と準備を進めているという事実について、あなたはどう思われるでしょうか。
 そればかりではありません。病気、事故、死などなど、あらゆる不幸をもたらす原因が、場合によってはあなた自身の魂によるものだとしたら……。あなたはこの恐るべき事実をどのように受け止められますか?
 ここでは、人間一人一人の胸の内に息づく「魂」。この不思議な、目には見えない意志体について、実例を交えて考えてみたいと思います。

自らの魂の意志によって殺された女性
 あなたの中にもう一人のあなたが棲んでいるといったら、あなたは何と思われるでしょう。
 「悔しい、悔しい、悔しい!」そう言って出てきたのは、ある些細なことが原因で殺された、美しい未亡人の霊でした。
 突然に殺害されたことが悔しいのかと思えば、そうではないと言うのです。

 生きながらにして肉体がニカワのように固まっていく無残な病気に、“こう原病”という病気がありますが、彼女は日神会々長の神霊治療によってそのこう原病から救われた、もと浄霊依頼者だったのです。
 膠原病から救われた彼女は、熱心に神霊治療に励むようになり、霊感も備わって予知能力が働くようになったようです。
 そして、持ち前の美貌とスマートさで、日に日に人気を増していき、霊能者としても名前が知られるようになりました。
 政界・財界の大物とか病院の院長、更には芸能人たちから「先生」「先生」と言われ、ちやほやされてすっかり有頂天になったようです。と同時に、身も心も傲慢な、なんとも鼻持ちならない女性に変化してしまったのでした。

 そんな彼女が惨殺されたのは、彼女の家で経営している会社の事務員と些細なことで口論となり、挙句の果てに、長い肉切り包丁で、胸部から腹部にかけて3箇所刺され、殆ど即死の状態だったそうです。
 そこで、「悔しい、悔しい!」と言って出てきた彼女の霊の話によると
「私は人間界にあるとき、最高の神霊能力者であり、高き神のご加護を受けておりました。ですから、死後の世界にあっては当然美しい霊界に行けるものと信じておりました。それを楽しみに一日も早く霊界入りを果たしたかったのです。
 私は古びた肉体を早く脱ぎ捨てて、美しい霊界の住人になることばかりを考えていたのです。
 それなのに、今私のいるこの霊界はいったいなんでしょう。せっかく汚れきった肉体を捨てて来たというのに、こんなに汚い真っ暗闇の世界とは。いったいどういうことなのでしょう。悔しい、悔しい、悔しい!」
 「私はもう、あの肉体、そして鼻持ちならない傲慢な思いを宿した知恵と頭脳がいやでいやでたまらなかったのです。私は生前、自分の肉体に在って、どれほどいやな想いをしてきたことか。
 病気になれば、他の神に邪魔されて(神霊治療で)治されてしまいます。いやになった自分の肉体、知恵や頭脳を私自身で捨てる方法は、病気以外にもいろいろとあるものなのですよ」…ということだったのでした。
 以前から美しい霊界の姿が見えていた彼女は、その輝く霊界に行きたくて、膠原病になったものの、神霊治療によって病気は治されてしまった。そこで、事務員に殺させるという非常手段をとったのは、なんと!! 実は彼女自身の魂の仕業だったというのです。

 美しい霊界に行きたいばっかりに、傲慢と悪想念に満ち満ちた肉体、知恵、頭脳を自ら殺害するという非常手段をとってまで、肉体を捨てた彼女の魂でしたのに、霊界に来て見たら、そこは何と汚い真っ暗闇の低級霊界だったのです。そして彼女の魂はしきりに「悔しい」を連発するのでした。
 思えば、人間であった頃の彼女自身は自分の傲慢さや悪想念ぶりに全然気づいていなかったようです。しかし、彼女の体中深く宿るもう一人の人間、すなわち彼女の魂の存在は、そんな彼女自身の想いをじっと見つめていました。そしてその魂は、傲慢で鼻持ちならない自分自身の肉体や頭脳をとても嫌がっていたのでした。
 こうして霊界入りを果たした彼女の霊は、人間界にあった頃に見ていた輝く霊界とはまったく逆の地獄魔界で、今後数千年いや数万年もの長い長い年月を、苦しみもだえながら過ごすことになります。そして、肉体のない彼女の霊は、もういくら苦しくても死ぬことはできないのです。

ぽっくり死を考える
 最近、それほどの年齢でもなく、まだまだ元気な人が、ある日突然ぽっくり逝ってしまったという例が多くなったような気がします。それはもしかしたら、その人の魂が霊界入りを急いだのかもしれません。
 長年肉体人間の汚れすさんだ悪想念の中にどっぷりと浸かっていれば、魂がその悪想念に耐え切れず、霊界入りを急いだとしても不思議ではありません。
 魂自体も、その人の悪想念に侵食され、低級化していくことを知っているからこそ、時として霊界入りを非常に急ぎ、無理やり肉体を死に至らせるようなこともするのです。

 あなたを生かすも殺すも、その権利を握っているのは、他ならぬあなた自身の魂そのものであることを、あなたに是非知ってもらいたいものです。
 あなたの最も深いところに存在している魂が、自分の肉体や頭脳を嫌い始めたら、もはや偉大なる神霊の力をもってしても、魂自体の意志に逆らったり、介入したりすることはできません。私たちの持つ魂とは、それほど偉大な存在でもあります。
 人間は自分自身の傲慢・欲・おごり・高ぶり・嘘・不平・不満・恨み・嫉妬・ねたみ等々の悪想念に気づくことなく生活していれば、自分自身の魂から見捨てられ、魂自体も低級霊界へと移行せざるを得なくなります。ここに自己の想念管理の難しさがあるのです。

日本神霊学研究会会長 隈本 確著 大霊界6「魂の存在」より
 
2004.3.19  

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