暗黒の地獄界にうごめく霊人たち

 大霊界に超神霊世界(天国)と地獄魔界があることは何回となく書いてきました。そして、それは天地創造の素の神によって造られたことも…。
 では、その地獄魔界とはどんな所でしょうか。地獄魔界には、夜叉界、濁王界、陰王界、夜王界の4つの段階があります。
 人間は死によって肉体という衣を脱ぎ捨て、魂だけの世界(霊界)に入ります。すべての人の霊が死後、まず目覚める所は“幽界”です。ここから長い長い霊界生活が始まるのですが、死ぬ時持っていたそれぞれの想念によって、あるものは神霊世界へ、またあるものは地獄魔界へと落ちて行きます。
 これから日神会会長が明かにされた地獄魔界の様子を紹介しましょう。

夜叉界(やしゃかい)
 夜叉界に住む霊たちは、その多くが今から700年から800年前に他界した霊魂です。そこは噴煙噴き出す地獄地帯とでもいうのでしょうか、この世のどこを探してもあり得ないような異様な世界です。おぞましいばかりに陰惨で、異様な色彩に塗り込められ、地表にあいた小さな穴からはグスッ、グスッと紫がかった嫌らしい灰色の煙が噴出しています。
 そこにうごめく霊人たちのその容貌は、凶悪というか醜悪というか、怪談映画に出てくるような化け物面をした妖怪ばかりです。
 眼球がまったくなく、その部分が空洞になってしまっているもの。頭髪がほとんど抜けかかって、上瞼がひっくり返り、赤い肉だけが露出しているもの。かと思えば、鼻がなく、穴だけがふたつポーンポーンと正面から丸見えの状態になっているもの。歯が抜けて歯ぐきだけのもの。口が不気味にダラッとたれ下がり、顔半分が崩れ落ちたようなもの。耳が犬かキツネのようにピンと立って、口が大きく裂けた半人半獣の霊などなど。
 いずれも、生前の見にくい想念が、霊界で霊人の形として具現化された世界が繰り広げられています。
 夜叉界には、このような異様な霊人たちがうようよしているのです。そして、うようよだけならまだいいのですが、これら異形の霊人たちは、また身の毛もよだつような異様な行動をしているから恐ろしいのです。  半人半獣の霊人たちが集団となって、別のやはり半人半獣の霊人を逆さに吊るして、腕を1本1本切り取っていく。目玉を一つ一つえぐり取っていく。よってたかって散々なぶりものにした後は、ポイと大地に放り出す。そして、また別の霊人をつかまえては、同じように残虐な行為を喜々として繰返しているのです。
 夜叉界に住む霊人たちは、明けても暮れても、このような残虐な行動に血道を上げ、くる日もくる日もまったくあきることなく、何百回、何千回と繰返し続けています。しかも、これら夜叉界に住む霊人たちは、何かのはずみで現界に住む人間に少しでも波長が合おうものなら、猛然と人間に憑依しかかって、己の苦しみを人間に転嫁しようとします。転嫁された人間もまた、夜叉界に住む霊人と同じ苦しみを、肉体上でも精神上でも、味わわされることになるのです。現代医学でなんとも説明のつかない難病奇病のたぐいは、これら地獄界にうごめく霊人たちの苦しみの転嫁によるものが多いのです。

濁王界(だくおうかい)
 濁王界に住む霊たちは、夜叉界の年代をすでに卒業したもので、千年から三千年の昔に他界した人達の霊魂です。
 この霊人たちの住む世界、濁王界には、濁った灰色の闇の中にドブ池があります。ドブといっても地球上にあるような生易しいものではありません。およそこの世では見られない、ヘドロにコールタールを混ぜたような、なんとも言えないドブ池が、あたり一面に広がり、しかもこれが実に激しく腐臭を放っているのです。
 その真っ黒い汚泥が突然むっくりと盛り上がり、中から何者かがヌーッと現れ、「ブォーッ」と大きな息を吐いてはズボーッとまた汚泥の中に潜って行きます。これこそが濁王界に住む霊人の姿です。
 上半身はアマゾンの半魚人を思わせる怪獣です。この不気味な怪獣は、もちろん頭も顔面も、首、肩、胸、腕に至るまで、すべて真っ黒で、耳も鼻もさだかではありませんが、目だけは異様にらんらんと輝いています。
 彼らは、池の面に長くとどまることを許されず、ヌーと顔を出しては「ブオーッ」と息を吐き、大きく息を吸いこんでは、またズボーッと潜って行かなければならないのです。池のあちこちからヌーッと出ては「ブオーッ」と吐いて、ズボーッと潜る異様な光景が、ここでもまた、数百年、数千年と繰返されているのです。
 その間彼らはまったく無言です。汚泥にまみれた顔面からは、特別な表情はうかがえません。すでに夜叉界で七、八百年という悲惨な歳月を過ごしてきた彼らは、もはや涙も声もかれ果てて、感情さえもなくなったように見うけられます。ただひたすら汚泥の中に出たり入ったりを繰返しているだけです。

陰王界(いんおうかい)
 ここは5千年から8千年前に他界した人たちの霊魂が住む世界です。濁王界も暗かったのですが、ここは更に暗く、まったくの暗黒の世界の中に不気味な静寂が覆っています。
 しばらくして、闇になれてきた心眼に映ったのは、まるで化石のように一定の場所にジーッとしている霊人たちの存在でした。濁王界で見た汚泥の池はここにはありません。あたりの風景も定かには見えませんが、この陰王界の漆黒の闇は、永遠の眠りの森でしょうか、死の森でしょうか。
 そこにたたずむ霊人たちは、笑うでもなく、泣くでもなく、動くでもなく、真っ黒い木か石のように無表情です。そこからは、なんらの意志や表情も読み取ることは出来ませんでした。
 この陰王界は、現界および表面地獄界とはまったく異質の波長をもった世界で、ここの霊人たちの波動が、現界に住む人間に何らかの影響を及ぼすことはありません。

夜王界(やおうかい)
 ここは、いよいよ地獄界の深奥の世界、夜王界です。この夜王界に住む霊は、今から1万年から10万年も前に他界した人たちの霊魂です。
 真っ暗い中にも、おぼろげながら心眼に映ってきた世界は、無限に広がる漆黒の海原でした。その暗闇の中のあちこちに、人間よりやや大きめな仁王や不動明王のような像があり、その闇の中から、さらに黒いシルエットのようになって浮びあがってきたその像は、一人で立っているもの、座っているもの、あるいは数体でたむろしているものなど、さまざまです。
 この、あたかも死の世界に置き忘れられたような、古い彫像のようなものこそ、夜王界でなおも命脈を保つ霊界人だったのです。真っ黒な彫像さながらに、動かない表情の中で、目だけがどこか1点を見すえたまま、ちろちろと燃える炎のような異様な輝きをもっています。
 そして、霊人の真っ黒い顔の中にある、うすく裂けた赤い唇の奥からは、シューッ、シューッと、なんとも不気味で、不思議な息づかいがもれていました。……これがまさしく奈落の底というものなのでしょうか。
 地獄とは、なんと残虐かつ陰惨、そして虚無的な世界でありましょうか。地獄界の中でも陰王界、夜王界という地下凍結霊界までいたれば、そこに住む霊人たちは、もはやなんらの意志も波動も発していません。そこは、私たちの住む人間界とは、まったく隔絶された世界だったのです。

2002.9.4  
 

感想などをお聞かせください

 

inserted by FC2 system