解散総選挙を日本の政治を変えるチャンスにしよう

 郵政民営化法案が参議院で否決され、いよいよ解散総選挙へと突き進み始めた。小泉総理大臣とその側近のなりふりかまわぬ反対派つぶしには唖然とするばかり。これが日本のリーダーがやっていることかと思えば寒気もするが、でも、不謹慎かもしれないが面白くなってきた。
 郵政しか頭にない小泉総理大臣は今度の総選挙を『郵政で民意を問う選挙』と位置づけしたいようだが、冗談じゃない。
 小泉総理大臣が改革を叫び、曲がりなりにも構造改革に手をつけ、密室政治を国民の目に見える政治に変えたことは素直に評価しよう。
 しかし、『郵政』のみを信念とし、これが改革の本丸と位置づける小泉総理には、国民の痛みや想いが本当には分かっていないような気がする。
 もし、小泉総理大臣の頭に「郵政」しかないのであれば、今回の選挙で敗北・退陣していただきたい。それなりに名を残した政治家であるのは間違いないのだから……。

 郵政民営化はいずれ必要だとしても、いま、喫緊の課題ではないはず。それよりも山積している内外の諸問題に本気で取り組むべきだろう。
 老齢化と少子化に伴う年金、医療、福祉の問題。税金の問題。いいようにあしらわれている外交問題。核の問題。拉致の問題。などなどに比べたら、郵政民営化は、これらの問題を解決した後でいい。
 今度の総選挙は、これからの日本の進むべき道を究める選挙にしなければならない。正直言って『郵政』しか頭にない人が、この国のリーダーではあまりにもお粗末過ぎる。
 高齢化は待ったなし。少子化にも歯止めはかからない。おまけに、団塊の世代が今後続々と定年を迎える。これからの年金は、今までのように現役世代だけではまかなえない。制度そのものの抜本的な改革が必要で、もはや待ったなし。
 医療・保健、福祉の問題だって、このままではいずれ破綻する。そして借金は雪ダルマ式に増えていく。
 税金は取ることばかりを考えて、安易なサラリーマン増税や、消費税のアップにうつつをぬかし、無駄使いの構造改革には本気のメスは入っていない。
 官僚や公団職員の天下りを全面禁止にしなければ、談合や税金の無駄使いはなくならない。もともと公団そのものが特権官僚の天下り先として作ったもの。 こんなものは要らない。
 日本経済はやっと長いトンネルを抜け出したが、それだって、政策がよかったからでは断じてない。無策な政治を当てにできないから、血のにじむようなリストラと企業努力で打開を図った結果だ。
 明るさは見え出したが、多くの中小企業はまだまだ病みあがり。いま舵取りを間違えると、また以前の泥沼に落ちかねない。

 外交にいたってはもっとお粗末。アメリカには体よく利用され、拉致問題でにっちもさっちもいかない北朝鮮にはいいようにあしらわれ、やっと善隣有効を築いてきた中国や韓国とは靖国問題でギクシャク。
 アメリカべったりの外交、とりわけイラク問題では、中東諸国はもちろん、日本を尊敬のまなざしで見ていたアジア諸国や、アフリカ諸国にまで『アメリカの手先』と、懸念を抱かせている。
 これだけ多くの課題を抱えた日本の舵取りを、郵政一辺倒の小泉総理やその取り巻きに任せるわけにはいかない。そういう意味では、今度の選挙は日本国民の見識が問われる選挙でもある。
 若者の選挙離れも無関心も、元はといえば政治家の質の低さが招いたもの。旧態依然とした選挙からは脱却しなければならない。
 日本の総理大臣を直接自分の手で選べない今の選挙制度のもどかしさは、今後の政治課題に譲るとして、今度こそは日本のリーダーにふさわしい政治家を、これからの日本の舵取りを任せられる政党を選ばなければならない。
 そうでなければ、日本国民はいつまで経っても質の低い政治家に馬鹿にされ、なめられ続けなければならないだろう。

2005・08・11
 

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