総理大臣の靖国神社参拝の功罪

 小泉総理大臣が靖国神社公式参拝を続けています。これに対して中国や韓国をはじめとした近隣諸国が激しく反対しています。
 中国の反対運動にいたっては、暴徒化し日本の企業にまで襲い掛かり危害を加えています。中国政府はこれを容認し、その責任は日本側にあるとうそぶいて謝罪しようともしません。
せっかく民間レベルで築いてきた友好関係にも悪影響を与えそうな勢いです。

 日本でも、総理大臣の公式参拝については「賛成・反対」それぞれの議論が戦わされていますが、最近の情勢は「自粛すべき」が優勢のようです。
 総理大臣としては、ここで中国や韓国の要求を呑むことは「弱腰」と非難されるわけですから、簡単に引っ込むわけにはいかないでしょう。相変わらず「適正に判断する」と繰り返しています。
 ここにきて日本遺族会も、対中関係を憂慮して「民間レベルで築いてきた友好関係を壊してまでの参拝は国益に反する」と、参拝自粛を促す発言をし始めました。
 私も遺族の一人ですが、正直言って、今まで総理大臣が参拝しようがしまいが、特別な感慨はありませんでした。今もそうです。
 赤紙一つで召集され、遠く離れたビルマの地で戦死した父の魂が、靖国神社で英霊になっているとは思えません。靖国神社に奉られること自体、私にとってはどうでもいいことなのです。
 したがって、私も「国益を損なってまで総理に参拝してもらわなくても…」との立場です。

 小泉総理は最近の日本経済の好調さを、あたかも政府の経済政策の功績のように言っていますが、とんでもないことです。
 民間レベルでの血のにじむようなリストラと、企業再生努力があったからこそなのです。そのために国民は大きな痛手をこうむっています。
 そしてもう一つ。好調さの背景には、対中貿易が最高に寄与しているからなのです。いまや日本の対外貿易額はアメリカを抜いて中国がトップになっています。
 少なくとも中国経済は、2008年の北京オリンピックから2010年の上海万博までは拡大を続けるでしょう。中国国民の購買力は飛躍的に増します。
 そんな中国との友好関係を壊すことは、日本の国益にとって大きな損失となるでしょう。そんなに大きな犠牲を払ってまで、総理大臣に靖国参拝を続けてもらうことを、そこに奉られている霊たちが喜ぶはずがありません。

 また、中国には中国のお家の事情もあるようです。
 いま、中国は、その安くて豊富な労働力を背景に飛躍的な発展を遂げていますが、10数億の民の隅々までには行き渡りません。貧富の差はますます拡大しています。
そうした貧困層は、中国政府に対して不満をつのらせています。いつ暴動が起きてもおかしくないほどだといわれています。
 中国政府は、そんな不満の矛先を日本に向けさせようとしています。その絶好の口実が「小泉靖国参拝」なのです。
 小泉総理が靖国参拝を続ける限り、中国政府は不満の矛先を日本に向けさせておくことができるのですから、もしかして、中国政府にとっては「小泉様様」かも知れませんね。
 小泉総理が「それでは靖国参拝をやめましょう。その代わり貴国の対日敵視教育をやめて下さい」と駆け引きを持ち出したら、中国政府は何と言うんでしょうか。

 いずれにしても、中国や韓国はまだまだ発展途上国です。まだまだ未熟な「駄々っ子」のようなもの。日本人は「駄々っ子」を見守るやさしい親の目で、いたわってやればいいのではないでしょうか。
子どものすることに、一々目くじらを立てていてはいかにも大人気ありません。子どもに無理やり親の意見を押し付けようとしても反発するだけですから。

2005・07・05
 

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