北朝鮮への経済制裁は効果なし

 拉致家族を中心に北朝鮮に対する経済制裁要求が高まっています。
 拉致された方の家族はもちろん、日本人なら殆どの人が北朝鮮に対して激しい憎悪と憤りを感じています。
 出来ることなら軍隊でめちゃくちゃにやっつけたいくらいです。でも、今の日本にはそれは不可能なことです。
 ならば、せめて「経済制裁でも加えて困らせてやりたい」そう考えるのも無理からぬことですし、気持ちはよく分かります。
 弱腰政府に抗議するとして、拉致家族は座り込み戦術をとるような報道がなされています。
 しかし、北朝鮮という国は独裁国家です。ブッシュ大統領言うところの「ならず者国家」です。普通の人間の感覚が通用する国ではありません。
 経済制裁を加えて「参りました。拉致した人は全員返します」と言う国かどうかよく考える必要があります。
 なるほど経済制裁を加えれば、北朝鮮が困ることは想像できます。でも、後ろには中国が控えています。場合によってはロシアだって北朝鮮に手を差しのべるかもしれません。
 経済制裁ごときで音をあげる国だとは到底思えず、むしろ感情を悪化させるだけではないでしょうか。
 そして、更に劣悪な生活環境に追いやられるのは、一般国民などの弱者です。独裁者や一部の指導者たちは相変わらずぬくぬくとしているのです。
 北朝鮮が、更に日本に対して憎悪をつのらせればどうなるか。拉致された人は永遠に帰れなくなるばかりか、殺されかねません。
 拉致された人たちは、北朝鮮によれば、表向きは死んだことになっているか、存在しないとされている人たちばかりですから、殺してしまっても平気でしょう。北朝鮮とはそういう国ではないでしょうか

 北朝鮮にとって恐いのはアメリカだけです。6カ国協議には応じないで、アメリカとの2国間交渉だけにこだわっていることが、そのことを物語っています。
 一方アメリカにとっては、今のところ北朝鮮問題はどうでもいいことです。テポドンもノドンもアメリカまでは届きませんから。
 北朝鮮が6カ国協議に乗ってこないことを承知で、アメリカは協議再開を呼びかけています。これもアメリカにとっては、どうでもいいことなのでしょう。
 むしろアメリカにとっては、北朝鮮が日本を脅かし続けてくれることが国益につながります。
 なぜなら、日本は、北朝鮮の脅威から逃れるには、アメリカに助けてもらう以外にないと思っているからです。アメリカの言いなりになる日本。アメリカの金づるになる日本がそこにあるからです。
 表向きは北朝鮮制裁をほのめかしながら、ここでも内心は「ほくそ笑んでいるアメリカ」が見え隠れします。
 アメリカや北朝鮮のしたたかさに比べて、歯がゆいばかりの日本外交。これが現実でしょう。
 でも「陽はまた昇る国日本」「日の元の国日本」の復活を信じて、今は我慢のときかもしれません。

<この手記は増田俊男氏の時事直言を参考にさせていただきました。>


2005・05・30
 

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