中国の反日デモでアメリカがにんまり

 中国の反日デモがエスカレートしてきています。
 「デモの責任は日本にある」なんて、無法者国家のような言動を繰り返して、事態を静観していた中国当局も、世界の世論を恐れてか、ここに来てやっとデモの鎮静化に乗り出してきました。
 それでもまだ「日本は反省しろ」とか「デモには賛成はしない。しかし非は日本にある」とか訳の分からないことを繰り返す中国政府要人。
 言うまでもなく、中国は民主国家ではなく共産党の独裁国家。やはり法治国家とはとても言えない野蛮性を全世界に知らしめることになったのです。

 中国はいま目覚しい経済発展を遂げています。豊富で安い労働力は中国経済を世界有数の経済大国に導こうとしているし、それは、先進国には脅威として捉えられています。
 事実、2008年北京オリンピック、2010年上海万博、と一大行事を控えている中国経済は、そこまでは順風満帆かもしれません。
 しかし、いくら目覚しい経済発展を遂げているとはいえ、中国には13億の人がいます。経済効果は13億の隅々まではいきわたらないのです。
 発展を遂げ、所得が向上して、生活が豊になった人は13億の中ではまだまだ少数派。依然として貧困層の方が多く、しかも所得格差は広がりつつあります。
 おそらく、上海万博を境に中国経済は行き詰まり、ものすごい不況に見舞われると思われます。
 貧困層の不満は爆発し、各地で暴動が起きると思われますが、その貧困層の不満の矛先を中国政府は台湾や日本に向けさせるでしょう。
 ここにきて、中国政府は台湾にも強硬姿勢を見せ始めています。
 もしかしたら、本当に中国・台湾戦争が起きるかも知れません。中国政府はもはやそんな方法でしか、不満層を沈静化させることはできなくなるのではないでしょうか。
 今回の反日デモが、その前哨戦だとしたら…。中国政府がデモを見てみぬ振りをしている意味がよく分かるでしょう。
 中台戦争ともなれば、アメリカが必ず乗り出してきます。アメリカにとって、目の上のタンコブである中国を民主化する絶好のチャンスだからです。その機会に中国の手先としての北朝鮮も、一気に叩きつぶす気ではないでしょうか。
 アメリカにとっては、中国と湾台、中国と日本、そして日本と北朝鮮がギクシャクすることこそが国益につながるのであり、これらの国が仲良くすることは、アメリカにとって好ましいことではないのです。
 そう考えれば、北朝鮮がのさばっているのもうなづけます。6カ国協議にも乗ってきません。北朝鮮にとって恐いのはアメリカだけ。そのアメリカに、いまは本気で北朝鮮を抑える気がないからです。
 アメリカにとっては、6カ国協議などはどうでもいいことであり、ましてや日本の拉致問題に口をさしはさむ気は毛頭ありません。
 なぜなら、日本や韓国が北朝鮮と仲良くすることは、アメリカの国益に反することなのですから。
 日本としては反日デモなどほっとけばよかったのですが、景気が上向いているいま、日本もアメリカも中国経済に依存するところが大きく、中国に投資している企業も多いため、ほっとくわけにもいかなかったようです。
 残念なことですが、中国の謝罪どころか、アジア・アフリカ会議で逆に日本が中国を意識した謝罪を表明しました。
 懇願する形で日中首脳会談を申し入れ、やっと開かれた会談で、いいように中国にあしらわれてしまいました。

 今回の反日デモは世界中の注目の的となり、アメリカとしても、表面上は、中国に対して遺憾の意を表明せざるを得なくなりました。が「内心はほくそえんでいる」のではないでしょうか。
 そして日本は、またまた外交上で大きな汚点を残すことになってしまいました。

<この手記は増田俊男氏の時事直言を参考にさせていただきました。>


2005・04・26
 

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