円高が震災日本を救う

超円高が意味するもの

 日銀が円高を阻止するため市場介入を行った。タイミングも良かったし、一時は3円近く円安に動いた。でも、今回は前回と違い、 各国から協力が得られる協調介入ではなかったし、むしろ主要国は介入に批判的でさえあった。日本だけでの単独介入は、 一時的には円高を阻止できても、長続きはしない、円高傾向はしばらく続く。
 そこで出てくるのが、さあ大変、1円の円高で○○社では数百億円の収益減になる。このまま円高が続けば日本の輸出企業は大打撃を受ける。 輸出立国日本は破綻し、企業は外国に逃げ出し、空洞化がおきる。などなど、企業の宣伝に載せられて、マスコミも悲観論一色。 円高がもたらす好影響については殆ど触れない。日本人は、よほど悲観論が好きだと見える。
 考えてもみてほしい、なぜ円高になるのか。あれだけの大震災に見舞われた日本の円がなぜ買われるのか。 円が買われるということは、日本の国力が買われるということ。
 アメリカは、大借金を背負って、デフォルトこそ回避されたが、今後の緊縮財政を見通せば、今後の経済は非常に厳しく暗い。。 ヨーロッパは、ギリシャ問題からユーロ圏で次々と経済破綻がうわさされて、ユーロには近寄れない。 飛ぶ鳥を落とす勢いの中国も、インフレの進行と内政問題で今後の成長は鈍化し、いつバブルがはじけるか分からない。 バブルがはじければ、国内各地で暴動が起きかねない。加えて、背伸びした国威の顕示が、世界の信用を失いつつある。
 一方日本を見れば、大震災でアップアップ、とても今の不景気を立て直す余裕などない。…と、思えるがそうではない。  災いを転じて福となす。被災地の皆さんには申し訳ないが、あの大震災が、日本にとっては願ってもないチャンスを与えてくれたのだ。 世界の経済が減速傾向を余儀なくされているとき、まして円高で輸出はままならない今、震災復興という内需拡大の絶好の機会を得たのが日本経済。 つまり、待ったなしの震災復興が、いやでも内需を高め、これからの日本は輸出ではなく内需で好景気に沸くことになる。 折からの円高が、原材料を輸入に頼る日本の経済を後押しする。原材料を円高によって安く調達できることが、 日本経済に与える好影響は計り知れない。 原発再稼動がままならない今、当分の間は化石燃料に頼らなければならないが、これも円高で安く購入することができる。 しかも、震災復興需要は今後長く続く。減速傾向を色濃くする諸外国と違って、日本だけが、我が世の春を謳歌できる日がきっと来る。 それが分かっているから円が買われているのであって、円高は決して悲観材料ではない。
 唯一つ残念なのは政治の貧困。情けなくて目を覆いたくなるような体たらくだが、それでも、何もしなくても、復興は待ったなし。 いや、むしろ今の政治家なら何もしないほうがいい。政治が足を引っ張りさえしなければ、必ず日本に好景気がやって来る。

2011・08・05
 

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