インフレ対策には株が一番

 5年ぶりに実施された日銀による量的金融緩和策の解除が、大きな関心事として報道されている。
 政府内にはまだ慎重論も多いようだし、各方面で賛否両論が姦しいようだが、これで日本経済にもやっと春がやって来たと歓迎したい。
 何といっても5年は長過ぎた。金融の量的緩和は、重症のデフレ病から脱却するため、政府・日銀がとったなりふりかまわぬ苦肉の非常事態対策だった。
 したがって、5年もこれが続けられたことが異常であり、今やっと正常に戻ったことは喜ばしい。株価もこれを歓迎して大幅高となった。
 緊急避難的な量的金融緩和策が解除されたからといって、今すぐ金利がどうこうなるわけではない。ゼロ金利は当分続くと考えられているからだ。
 短期金利にはそれほどの影響は与えないと思われるので、頼みの預貯金金利は上がらない。長期金利は先高感が出て、上昇することが考えられるから、住宅ローンなどには影響があるだろう。
 我々庶民にはさしあたっての影響は少ないものの、今後は景気の舵取りが日銀の金融政策によって行われることになり、やっと本来の姿に戻ったことになる。

 問題は、この超緩和策の解除が日本経済と庶民の生活にどのようにかかわってくるか。
 脱デフレ政策は言わずと知れたインフレ政策。中にはインフレ待望論さえあった。したがって歴史は繰り返す。これからはまたインフレが進むと読むのが妥当だろう。
 量的金融緩和策の解除を決定付けたのが物価の安定的な上昇。原油高によるところが大きいとしても、着実に物価高が進行してきたからだ。
 政府部内からの時期尚早論を押し切って、日銀が緩和策解除を決めた裏には、このままに放置していればインフレが急速に進むことを恐れたため。
 日銀主導での早めの舵取りができるようにしたのだろう。インフレがはっきりしてきてから手を打ったのでは間に合わない。早め早めの対策が、いつでも打てるようにする必要があったからだ。
 さて、そのインフレだが、これが庶民の生活にどのような影響を与えたか、昭和の40年から60年までぐらいを思い出してみればいい。
 物価はどんどん上がり、資産価値は目減りしたけれど、賃金もどんどん上がったので、暮らしは楽になった。
 預貯金金利も5〜6%となり、10年ばかり預けていれば倍近くになって、小金を貯めていれば預貯金金利で生活できるのではないかとさえ思える時代だった。国民の90%以上が中流意識を持っていたのもこの時代だったと思う。
 では、これからインフレに向かうとして、又あのような時代が来るのかといえば、違うような気がする。
 今の日本経済は確かに好景気だが、リストラや低賃金で支えられた好景気であり、国民の実感としての好景気とは程遠い。したがって貧富の差が際立ってきた。国民の間の貧富の格差が拡大し、いまや多くの人々は下流階級と認識しだしている。
 このままいけば、格差はますます拡大する。いわゆる持てる者と持たざるものとの差がだんだん広がることになる。
 それはインフレ社会では、ある程度仕方のないこと。 だからといって、私たちは指をくわえて見ているだけでは能がない。
 下流階級にならないように自助努力をしなければ、預貯金だけでは目減りしてしまって、インフレに泣かされることになる。積極的な防衛策が必要だ。

 インフレが進むとみる根拠は、原油をはじめ金・貴金属・エネルギーその他の資源、いわゆる物の国際価格が上がっているということ。
 ならば、物を買えばいい。……と言っても金や貴金属やエネルギーは買いづらい。土地や絵画は買い時かもしれないが、多額の資金が必要で、庶民には手が出ない。
 では何を買うか。株がいいと思う。
 今は昔と違って、株は恐いものとか、金持が買うものとかの認識は薄れている。いいか悪いかは別として、ライブドアの株なんか子供が小遣銭で買っていた。
 株を買えば必ず上がるとか、きっと儲かるとかは言えないが、インフレが進行してくれば上がってくると思うし、特に日本の株価はなぜか金価格に連動する。金が上がれば株も上がるという構図があるようだ。
 株が上がれば経済にも企業活動にも好影響を与え、ますます景気がよくなる。まさに好循環型の日本経済がそこまで来ているような気がする。
 株を買うと言っても、3,000も5,000もある銘柄の中から何を買えばいいか分からない人も多いだろう。そういう人は投資信託を買えばいい。いわゆる○○ファンドというやつで、小額でも買える。
 また、毎月一定額の積み立て方式で株を買う累投というのもある。
 2010年ごろには実りの秋を迎えるかも知れない。

2006・3・10
 

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